こんな夢を見た。

 学校の授業中、先生に当てられた僕は、なにか面白いことを言った。教室に笑いが起こる。僕はすかさず、追い打ちをかけるように、さらに面白いことを言った。教室は爆笑の渦に包まれ、収まりがつかないほどになった。僕は、高揚感に包まれながら、教室にいる人たちのお顔をチェックする。そして、クラスメイト達の笑顔と、先生の困り顔を確認した僕は、よりいっそう高揚感に包まれるのであった。

ああ、人を笑わせることはなんと気持ちがよいのだろうか。

 

 いつのまにか僕は時空を超え、家の布団にワープしていた。夢を見ている間も、うすうす夢だとは気付いていたので、やはり夢だったかと思った。落胆は、あまりしない。なぜなら、ドーパミンが分泌されるあの感覚は、現実のそれと何ら変わりはなかったからだ。ひとつ残念な点があるとすれば、現実のみんなが、僕の激おもしろギャグを聞き逃したのが、不憫であるということのみである。しかし、僕にはそんなことは関係無い。僕は、ドーパミンを求めて、苦しみの溢れるこの世界を突き進んでいくだけだ。